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by occon_occon_occon
| 2013-06-12 20:16
午前11時、藤嶋は、叶に電話を入れた。
「お早うございます。寝てた?」
「寝てた。良く寝れるよ!」
「じゃ、昨日教えた場所まで来たら電話ちょうだい。迎えにゆくから!」
叶は、藤嶋に自転車をくれると言う。
自動車に二台もつんで来た。それも、ロードバイクである。
「こっちの四十四ダムまでこれで行こうと思ってさ!」
「こっちの、藤嶋さんにあげるからさ!ちょとまって、今、組み上げるからさ。」
「叶ちゃん、何、これ?」
「えっ、それはディスクブレーキ。前にもあるからさ。」
「叶ちゃん、何、これ?」
「えっ、それはギヤチェンジレバー!」
「えっ、ドロップハンドルの一番下にギヤチェンジレバーがついとるんかい!まるで、F1のフェラーリやんけ!しかも、前輪にギア三段も付いてるしィ〜!」
「いいの?貰って?」
「いいよ!」
「あっ!温泉に行く前に、裏の川、見てかない?
こっから1分だからさ!」
「ここ!」
「良い処だね!」
「良いでしょ!夏はあそこで鮎釣って、この胡桃の木の下で、バーベキューするんだよ!」
「良いね。最高じゃん!」
「最高!」
「藤嶋さん、どっち?」
大沢温泉に行く車中でも、二人の会話は途絶える事はなかったが、道に不馴れな藤嶋が本気で地図を見始めたのは花巻市内に入ってからだった。
「此処等にバチンコ屋あるかな?」
「そりゃ、いっぱいあるよ。何で?」
最近、叶は方位占いの腕を上げたのだと言う。
温泉までの間、かつて二人で行った川崎の方位占いの先生の話し等、方位占いの話しに夢中になっていた。
大沢温泉山水館につき、フロントでチェックインを済ませ、部屋に案内された時には午後の4時を回っていた。
夕食の時間を仲居さんと済ませ、二人は旧館の露天風呂に向かった。
旧館の入り口付近に差し掛かった所から温泉旅館の河岸の風景が現れて来る。
「良いね!」
「露天風呂の風情なんか、もっといいよ」
「お早うございます。寝てた?」
「寝てた。良く寝れるよ!」
「じゃ、昨日教えた場所まで来たら電話ちょうだい。迎えにゆくから!」
叶は、藤嶋に自転車をくれると言う。
自動車に二台もつんで来た。それも、ロードバイクである。
「こっちの四十四ダムまでこれで行こうと思ってさ!」
「こっちの、藤嶋さんにあげるからさ!ちょとまって、今、組み上げるからさ。」
「叶ちゃん、何、これ?」
「えっ、それはディスクブレーキ。前にもあるからさ。」
「叶ちゃん、何、これ?」
「えっ、それはギヤチェンジレバー!」
「えっ、ドロップハンドルの一番下にギヤチェンジレバーがついとるんかい!まるで、F1のフェラーリやんけ!しかも、前輪にギア三段も付いてるしィ〜!」
「いいの?貰って?」
「いいよ!」
「あっ!温泉に行く前に、裏の川、見てかない?
こっから1分だからさ!」
「ここ!」
「良い処だね!」
「良いでしょ!夏はあそこで鮎釣って、この胡桃の木の下で、バーベキューするんだよ!」
「良いね。最高じゃん!」
「最高!」
「藤嶋さん、どっち?」
大沢温泉に行く車中でも、二人の会話は途絶える事はなかったが、道に不馴れな藤嶋が本気で地図を見始めたのは花巻市内に入ってからだった。
「此処等にバチンコ屋あるかな?」
「そりゃ、いっぱいあるよ。何で?」
最近、叶は方位占いの腕を上げたのだと言う。
温泉までの間、かつて二人で行った川崎の方位占いの先生の話し等、方位占いの話しに夢中になっていた。
大沢温泉山水館につき、フロントでチェックインを済ませ、部屋に案内された時には午後の4時を回っていた。
夕食の時間を仲居さんと済ませ、二人は旧館の露天風呂に向かった。
旧館の入り口付近に差し掛かった所から温泉旅館の河岸の風景が現れて来る。
「良いね!」
「露天風呂の風情なんか、もっといいよ」
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by occon_occon_occon
| 2011-12-28 14:44
「じゃ、醤油チャーシュ麺。あっ、煮玉子、乗せて!」
「畏まりました。醤油チャーシュ煮玉子乗せ!」
「結構、美味いジャン。だけど、シナチク亭には及ばないな。」
「へぇ〜、今でも、シナチク亭に行ってるんだ」
シナチク亭とは、横浜駅東口裏の小さな商店街にあるラーメン屋で、横浜時代、藤嶋が叶を連れて行った店である。
その店の店主は、鵠沼海岸にある伝説の「佐野実の支那屋」で休日だけバイトをしてラーメン修行をしていた人物である。
あの人、ホテルの厨房で働いていた人なんだ。
別れたかみさんの友人の旦那、真面目な顔してたな。佐野実のところで修行するって、キツいよ!鬼だから!
「美味いよ!」
「うちも、あそこと同じ22番切り歯で麺うちたいんだけどね」
「藤嶋さんのところ、何番なの?」
「多分、20番。ちょっと、太い」
「だよね!」
「あっ、叶ちゃん、こっちにいつまでいるの?」
「来週の木曜日かな!?」
友、遠方より来る……。の通り、友に最善のおもてなしをせねば、と、日頃、男気を重視している藤嶋の閃きの答は「だったら、明日、温泉に行こう。良い温泉在るんだ。大沢温泉。宮澤賢治が贔屓にしていた温泉で、お湯良いし、飯、最高!夕飯は、料理だけでまっ、8000円はするね。また、朝飯が美味い!胃袋、3つは、いるね!」だった。
藤嶋は、それから、即、大沢温泉に予約の電話を入れた。
藤嶋は、無類の温泉祕湯マニアであった。
「畏まりました。醤油チャーシュ煮玉子乗せ!」
「結構、美味いジャン。だけど、シナチク亭には及ばないな。」
「へぇ〜、今でも、シナチク亭に行ってるんだ」
シナチク亭とは、横浜駅東口裏の小さな商店街にあるラーメン屋で、横浜時代、藤嶋が叶を連れて行った店である。
その店の店主は、鵠沼海岸にある伝説の「佐野実の支那屋」で休日だけバイトをしてラーメン修行をしていた人物である。
あの人、ホテルの厨房で働いていた人なんだ。
別れたかみさんの友人の旦那、真面目な顔してたな。佐野実のところで修行するって、キツいよ!鬼だから!
「美味いよ!」
「うちも、あそこと同じ22番切り歯で麺うちたいんだけどね」
「藤嶋さんのところ、何番なの?」
「多分、20番。ちょっと、太い」
「だよね!」
「あっ、叶ちゃん、こっちにいつまでいるの?」
「来週の木曜日かな!?」
友、遠方より来る……。の通り、友に最善のおもてなしをせねば、と、日頃、男気を重視している藤嶋の閃きの答は「だったら、明日、温泉に行こう。良い温泉在るんだ。大沢温泉。宮澤賢治が贔屓にしていた温泉で、お湯良いし、飯、最高!夕飯は、料理だけでまっ、8000円はするね。また、朝飯が美味い!胃袋、3つは、いるね!」だった。
藤嶋は、それから、即、大沢温泉に予約の電話を入れた。
藤嶋は、無類の温泉祕湯マニアであった。
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by occon_occon_occon
| 2011-12-22 21:10
先週の土曜日、午前9時、携帯が鳴った。
携帯のディスプレイには、叶ちゃんの文字。
電話に出ると「今、一関のインター」
「えっ、仕事」
「違うよ。藤嶋さんに逢いにきたんだよ!」
叶ちゃんは、横浜の広告代理店時代の同僚である。
それから、二時間ほどしてラーメン居酒屋 藤嶋家玉に彼は現れた。
六年ぶりの再会である。
「よう、久しぶり」
「よう、何、その腹、髪も白くなったね!」
「藤嶋さん、変わらないね?!」
「いや、体力なくなったよぉ〜」
それから、二人は何かに取りつかれたように六年の溝を埋めていった。
携帯のディスプレイには、叶ちゃんの文字。
電話に出ると「今、一関のインター」
「えっ、仕事」
「違うよ。藤嶋さんに逢いにきたんだよ!」
叶ちゃんは、横浜の広告代理店時代の同僚である。
それから、二時間ほどしてラーメン居酒屋 藤嶋家玉に彼は現れた。
六年ぶりの再会である。
「よう、久しぶり」
「よう、何、その腹、髪も白くなったね!」
「藤嶋さん、変わらないね?!」
「いや、体力なくなったよぉ〜」
それから、二人は何かに取りつかれたように六年の溝を埋めていった。
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by occon_occon_occon
| 2011-12-21 15:09